さて今回は前回紹介したCレーションの後継であるMCIレーションのB-1ユニットについて取り上げます。1958年に登場したMCIレーションはCレーションの改良版といったところで、Cレーションよりもユニットの数とバリエーションが増えており、後のMREに似た構成となっています。今回紹介するB-1ユニットはMREに例えるとクラッカーになるものです。
缶の印字を拡大したところです。ユニット名と内容物、製造会社が記載されています。MCIは主食であるMユニット、クラッカーなどが入っているBユニットが入っているのは従来のCレーションと同じですが、それに加えてデザートであるDユニットとアクセサリーパケットが入っており、それぞれを1つずつ組み合わせて1食分としました(厳密には戦後型のCレーションは戦中品のCレーションとMCIの性質を併せ持ったようなレーションとなっています)。12食分が1箱に入っており、この点は12食分入っている箱が2つ=24メニューあるMREと似ています。製造会社はSOUTHERN PACKAGING & STORAGE CO.で現在のソパコ社となります。
製造は1974年の12月となっており、40年以上前に製造された古いレーションだということが分かります。ここまで古いレーションを食べるのは初めてですが、食べられるのかどうか気になります。
缶の側面です。Cレーションとは異なり塗装がされており巻き取り式ではありません。
缶の裏側です。巻き取り式ではないので開封するためのキーは付いていません。
Cレーションと比較したところです。缶の直径は同じですがMCIはCレーションの半分近くの長さになっていることが分かります。これはCレーションにはクラッカーの他に砂糖やキャンディー、インスタントコーヒーが入っていますが、MCIにはクラッカーとそれと同じ直径のお菓子しか入っていないためです。
では早速開封して中身を見てみましょう。開封する手段が付いていないので手持ちのP38缶切りを使って開封します。
缶を開封したところです。キャンディーが入っています。キャンディーは缶切りで傷つかないギリギリの大きさになっていることが分かります。
キャンディーを取り出したところです。紙製の衝撃吸収のスペーサーが入っており、クラッカーが衝撃で割れないようになっています。
スペーサーの紙を取り出したところです。
缶とクラッカーの位置関係です。最後のクラッカーは何故か逆向きに入っていました。スペーサーが隙間なく入っています。
最後のクラッカーを取り出したところです。缶の底にもスペーサーがあります。缶の内側は腐食がなく綺麗な状態です。
中に入っていたキャンディーのパッケージです。パラフィン紙のようなパッケージにはチョコレートファッジという表記になっています。
キャンディーのパッケージの裏側です。
これがB-1ユニットの中身です。見た目では普通に食べられそうな状態です。
クラッカーは4枚入っており、ご覧のように白い粉がコーティングされているため粉っぽいです。クラッカーは塩味の古いMREのクラッカーといった感じのパサパサした食感で、しけっていないため普通に食べられますが、チョコレートファッジの匂いが移っています。
チョコレートファッジは見た目では問題がないように見えますが、チョコレートの油脂が腐ったような匂いがあります。味もかなり苦いですが、これらが元々なのか年月によるものなのかは分かりませんでした。
チョコレートファッジの断面です。チョコレートファッジはDレーションと同じく耐熱性を重視しているためか見た目のイメージよりも硬い食感です。
総評
今回はMCIレーションのB-1ユニットを紹介しましたが、製造から半世紀近く経っているためか全体的にかなり味が落ちている印象を受けました。やはり年月が経ったレーションはコレクション用と考えた方が良さそうです。
次回は今度こそ新型のウクライナ軍24hレーションを紹介しようと思います。