DualSenseとNintendo Switch Proコントローラーの設計思想を考察してみる



突然ですが、皆さんはゲームをプレイされる際はどのようなコントローラーを使用していますか。私は主にPCやNintendo Switchでゲームをプレイしていますが、カプコンベルトアクションコレクションなどの2Dゲームをプレイする際にはDualSense(PCではそのまま、Switchではアダプターを使用)、スーパーマリオ3Dコレクションなどの3Dゲームをプレイする際にはNintendo Switch Proコントローラー(以下Proコン)という風に使い分けています(ちなみにPCのFPSなどの3Dゲームではキーボードを使用しています)。使い分ける理由としては、2Dアクションゲームではアナログスティックは使いずらく、逆に3Dアクションでは十字ボタンは使いずらいからです。DualSenseはPS5、ProコンはSwitchという今現在最新で同世代となるゲーム機のコントローラーですが、両者はボタンやアナログスティックの配置や形状など様々な点が異なっています。

ということでこの記事ではDualSenseとProコンを中心にコントローラーの設計思想や伝統を考察してみようと思います。

概要

2つのコントローラーの元箱とコントローラー本体です。ご覧のようにかなり元箱のサイズが異なり、Proコンはコントローラーが入るギリギリのサイズですが、DualSenseはPS5本体の大きさに追従するかのように大きいです。コントローラーの縦横の寸法はどちらも同じぐらいです。下に価格や重量などを表にまとめました。

DualSenseProコン
発売年月日2020年11月17日2017年3月3日
価   格税抜6980円税抜6980円
重   量約280g約246g
USB端子USB Type-CUSB Type-C

ご覧のように、両者のスペック上の仕様は似通っています。DualSenseやProコン固有の機能(トリガー機構、フィードバック機構、マイク、NFCなど)を抜きにして考えると、違うのは重量とコントローラーの厚み(DualSenseの方が重く厚め)、USBケーブルの付属の有無(DualSenseは付属していない)、コントローラーの色ぐらいです。ここからは両者の同じ点と違う点を設計思想や伝統を考察しながら詳しく挙げてみようと思います。

同じ点

①コントローラーの流線的で凹凸の少ないデザイン

両者ともコントローラーの側面は流線型で、長時間使用しても手に負担がかかりにくくなっている。また、コントローラーの表面は凹凸が少なく、ネジ穴も目立たないように工夫されている。これによって手に持った際の違和感を軽減して手に馴染むようになっている。

②V字型に配置されたオプションボタン類

スタート、セレクト、キャプチャー、ホームなどのオプションボタン類はパッドの中央にV字型に配置されている。これによりコントローラーを握ったままで素早い操作が可能になっている。

違う点

①左側の十字ボタン(方向キー)とアナログスティックの配置

DualSenseは上側に方向キー、下側にアナログスティックという構成に対し、proコンは上側にアナログスティック、下側に十字ボタンという構成になっている。DualSenseはPS1時代から続く伝統的な配置で、PS1の初期型のコントローラーにはアナログスティックはついておらず、後から付け足したためこのような形状になっている。一方proコンはN64(持ち方によって変わる)やゲームキューブなどのアナログスティックをメインに使用することが想定されているコントローラーからの配置である。

②十字ボタン(方向キー)の形状

DualSenseはPS1時代から続く方向キーが4つに分離しているように見える(実は一体成型)デザインで、方向キーの間隔を狭くしその他改良を加えたDUALSHOCK4の形状を受け継いでいる。これは表向きは任天堂の十字キーの形状を侵害しないためだが、本当は誤入力を減らすためにこのような形状になっていると考えられる。一方でproコンはゲーム&ウオッチやファミコン時代から脈々と続くデザインで、構造もほとんどといっていいほど変化していない。十字ボタンなどについては別途詳しくまとめたページを作成する予定です。

③右正面のボタンの配置

DualSenseはPS1時代から続く〇×△□のボタンが正方形の配置である。一方でproコンはスーパーファミコンのコントローラーを基にした正方形に近いひし形となっている。このような形になった理由としては、コントローラーを握った際に親指が自然な位置になるようにするためには、Y・Bボタンをメインに使用する必要があり、尚且つ親指を60度辺りに必要がある正方形の配置よりも親指をコントローラーを握った際の45度の状態のままにできるひし形にボタンを配置する必要があったためだと考えられる。ただしその原則はあまり適用されておらず、正方形の配置になっている任天堂ハードの方が多い。また、正方形の配置であるDualSenseは操作しにくいというわけではなく、スティックが直角に近い角度になっているため操作に違和感はなく、逆にproコンはそれよりもゆるい角度になっておりこちらも操作に違和感はない。

④コントローラー上部のボタンの構造

両者ともコントローラー上部には4つのボタンがある。DualSenseはL1R1ボタンがボタン状に押す形式になっており、トリガーボタンと呼ばれるL2R2ボタンはPS3時代から続くヒンジ状のストロークが深くなったもので、トリガー機構を発揮できるようになっている。一方でproコンはLRボタンはSFCのLRボタンと同じヒンジ状の構造のボタンになっており、ZLZRボタンはストロークがない普通のヒンジ状のボタンになっている。

⑤オプションボタン類の形状

DualSenseはオプション・クリエイトボタンが少し出っ張った形状で小さめである。また、PSボタンはPS3・PS4時代(PS1・PS2ではアナログボタン)から続く2つのアナログスティックの間に配置されており、アナログスティックに邪魔されて押しにくい。一方でproコンはDualSenseではタッチパッドがある部分にオプションボタン類が配置されており、スタート・セレクトボタンは少し出っ張った形状で尚且つ本体に縁取りがなされており入力しやすくなっており、ホームボタンとキャプチャーボタンは出っ張りが抑えられ誤入力しにくく必要な時に押しやすくなっている。

その他の違いには、コントローラーの滑り止め加工、右正面のボタンを押した感触(DualSenseはカチカチ、proコンはフワフワ)、右正面のボタンのストローク(proコンの方が少し長い)などがある。



まとめ

以上のことから、どちらのコントローラーもハードを構成する上で重要なものであるため、甲乙つけがたい性能になっています。ただし、どちらも得意なゲームと苦手なゲームがあるので使い分けは必須です(少なくとも私は)。試しにproコンでSEGA AGESのサンダーフォースⅣをプレイしてみたところ、十字ボタンでは位置が悪いため操作が難しく、かと言ってアナログスティックだと違和感があり上手く操作が出来ません。また実際に触るまではそうなっている理由が分かりませんでしたが、PS系統のコントローラーの方向キーは誤入力を防ぐために編み出された形ではないかと考えられ、気のせいなのかもしれませんがDualSenseの方がしっかりと入力され感触も良いです(ボタンがproコンよりも大きいことも一つの要因かもしれません)。

Switch用には↑のようなproコンの十字ボタンとアナログスティックを入れ替えただけのコントローラーが公式から発売されるとレトロゲームを売りにしている(Nintendo Switch Online、SEGA AGES、アーケードアーカイブスなど)ハードとしてうれしいと思います。もちろん十字ボタンの改良(現行のものだと誤入力が多く位置がずれやすい)は必須だと思います。私自身はproコンをスーパーマリオ3Dコレクションをプレイする際には何の問題もなく使えており(このゲームをプレイするために購入した)、よく言われる十字ボタンの誤入力もあまりなく(個体差があると思われる)、握った感触も重く分厚いDualSenseよりも良く、ホームボタンを押すだけでSwitch本体のスリープを解除することは社外品のコントローラーで出来るものは少ないです。だからこそ上の画像のようなコントローラーを発売していただきたいです。

今回は2社のコントローラーを取り上げましたが、昔から受け継いでいる箇所や工夫の跡が分かり面白いです。Xbox系列のコントローラーは今回は取り上げませんでしたが、任天堂やソニーのコントローラーとは違い、Xbox Oneのコントローラーはコントローラー外側パネルを分解してもボタン類が外れないようになっており、整備性を考慮した作りになっているようです。またメガドライブやセガサターンのパッドは十字キーが特異的な構造となっており、根強い人気を誇っています。これらのコントローラーも機会があれば取り上げてみたいです。

ゲームに関する投稿はこれが初めてとなりますが、これからもゲームレビューやゲームの周辺機器に関する投稿をしていきたいと思います。

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